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障害者と指導員とが、これから何年にもわたって営まれるその作業のすべてをまかなうことができるという額なのです。お金が生きていると実感しました。
そのボデリー村で、たまたまというよりは私のスケジュールをそれに合わせてくれたようですが、結婚式がありました。私も招かれて結婚式に出席しました。朝早くから若者たちが仕出しをして、私どもが招かれたのは昼飯でした。招かれたお客さんは4,000名にものぼりました。4,000名というのは、村の人口のすべてであります。その4,000名の人が一緒に大地に腰をおろして食事をするさまは壮観というより感動的でありました。私はここにコミュニティがある、そう思いました。一組の若い夫婦の誕生に際して、村人すべてを挙げて祝福するという姿なのです。
バングラディシュという国は貧しい国で、国民所得は日本の100分の1しかありません。国は高い山のふもとにありますので、雪解け水があって、川は水量が豊富です。しかし暖冬だったり大雨が降ったり嵐が襲ったりすると、すぐに川が氾濫して、毎年のようにそれに悩まされています。
一昨年、大きな洪水があって何万という人が家を流されました。日本からもボランティア、NGOが何組かバングラディシュに出かけ救済活動をしました。トラックに救援物資を積み込んで、現地を訪れます。タオルとか石鹸、米とかお菓子とか日用品を一つの袋に入れて配るのです。
それを子供たちが取りにきました。ズラーッと一列に並んで、子供が一つずつ袋をもらいます。私ならば、その袋をもらったらわからないようにクルツと後ろを向いて袋をあけておいしいお菓子があれば先に取ります。バングラディシュの子供は、だれ一人その場で袋をあける子がおりません。みんな大事そうに家に持って帰りました。家族と分かち合うためです。
ネパールで保健活動をされた岩村昇先生のことはみなさんもよ

 

 

 

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